この世にも奇妙な実話は、1984年のロサンゼルス・オリンピックで金メダルに輝いたレスリング選手、マーク・シュルツに届いた突然のオファーから始まる。有名な大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポンが、自ら率いるレスリング・チーム“フォックスキャッチャー”にマークを誘い、ソウル・オリンピックでの世界制覇をめざそうと持ちかけてきたのだ。その夢のような話に飛びついたマークは破格の年俸で契約を結び、デュポンがペンシルベニア州の広大な所有地に建造した最先端の施設でトレーニングを開始する。しかしデュポンの度重なる突飛な言動、マークの精神的な混乱がエスカレートするにつれ、ふたりの主従関係はじわじわと崩壊。ついにはマークの兄で、同じく金メダリストのデイヴを巻き込み、取り返しのつかない悲劇へと突き進んでいくのだった……。(C)MMXIV FAIR HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
出典元:Amazonプライム・ビデオ「フォックスキャッチャー(字幕版)」から引用
監督 ベネット・ミラー
主演 スティーブ・カレル, チャニング・テイタム, マーク・ラファロ
【感想・レビュー】
実話を元にした、なんとも憂鬱な物語。
スポーツ選手の話だが、少しも爽やかさはない。
孤独な人間の嫉妬と絶望。
オリンピックの金メダリストなのに、世間からたいして注目されていないマーク。
マークの兄デイヴも金メダリストで、こちらは家族を持ち幸せに暮らしている。また、弟の金メダルは兄がコーチしたおかげと世間では高く評価されている。
一方、大富豪デュポン家の息子ジョンはレスリング好き。その資金力を使って家の敷地内にレスリングチームまで持っている。しかし、母はレスリングは下品だとそのことをよく思っていない。
兄にコンプレックスを持つマークと母親からの愛情に飢えているジョン、親族からの精神的自立がしたい二人が出会ったことで巻き起こる衝撃の展開。
子供の頃の親友は、母親が金を渡して友達のふりをしていただけだったとか、
金の力で自分のドキュメンタリー番組を作って、自分をほめたたえるコメントを皆にさせるとか、
金持ち息子ジョンのエピソードがいちいち悲しすぎて泣けてくる。
受賞こそしてないが、アカデミー賞に多数ノミネートされてただけあって、なかなかすごい映画。
ジョンを演じるスティーヴ・カレルが、とくによい。